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報告:ユーロサトリ出展企業に申し入れ

6月7日にNAJATの呼びかけで行った「武器見本市(ユーロサトリ)に出展
しないで!軍需企業申し入れ」のご報告です。今回はとりわけ「民生品の
出展だから問題ない」との企業側の論理にいかに対抗するのかが問われま
した。「軍学共同」でも焦点となっている軍民両用(デュアルユース)技
術をどうとらえるのかという問題です。

ジャパンセル、藤倉航装あての要請書では、後半でその点を強調していま
すのでぜひご一読ください。今後も粘り強く働きかけを続けていきたいと
思います。

<ジャパンセル、藤倉航装あて要請書>

クリックしてeuro_f_jc.pdfにアクセス

<NECあて要請書>

クリックしてeuro_nec.pdfにアクセス

なお、NAJATのブログに当日の写真や要請書を掲載しています。こちらも
ご覧いただき、拡散などの際にご活用いただけるとありがたいです。

<ユーロサトリ出展企業に申し入れ!>
https://najat2016.wordpress.com/2016/06/09/action_euros/

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【報告】

「武器見本市(ユーロサトリ)に出展しないで!軍需企業申し入れ」

 6月7日午後、武器輸出反対ネットワーク(NAJAT)呼びかけの「武器見本
市(ユーロサトリ)に出展しないで!軍需企業申し入れ」を行いました。
3日に取り組んだ「死の商人にならないで!軍需企業めぐり」に続いての
怒涛の連続アクションです。
 「ユーロサトリ」とは隔年の6月頃にフランス・パリで開かれる世界最
大級の武器見本市です。武器輸出三原則が撤廃された直後の2年前には、
日本の軍需大手8社と中小4社が初出展しました。ところが今回は、三菱重
工をはじめとする大手6社が出展を断念。危機感を感じた防衛装備庁は、
「下町ロケット」を合言葉に、「背水の陣で中小に賭ける」との姿勢で臨
んでいます。
 今回、大手で2回目の出展を決めたのはNECのみで、初出展は三菱電機。
他に、ジャパンセル、藤倉航装が2回目の出展です。防衛省との取引があ
るのはここまでで、他は取引のない中小企業が初出展するそうです。
 NAJATでは、それでも出展する企業に対して、しっかりと反対の意志を
伝えようと、3社に絞って要請書を届けることにしました。

 直前の案内に応えて駆けつけたのは総勢9人。最初は町田市にあるジャ
パンセル。2年前と同様に、東日本大震災後に防衛省からの要請を受けて
開発した携帯型サーチライトの出展を予定しています。事前のアポイント
の際には、「軍用ではなく災害用」「防衛装備庁にこうした申し入れがあ
ることを伝えたい」などと言われていました。
 多摩境駅からてくてくと歩いて、まちだテクノパーク内にあるジャパン
セルに到着。受付で連絡すると「会議室に上がってきてください」と想定
外の応答。全員がスリッパに履き替え会議室に入り、待ち受けておられた
出展担当の営業部長さんと面談しました。軍需企業めぐりで要請書の受け
取りを拒否した富士通や東芝、今回のNECとは対照的です。
 出展中止を求める要請書とツイッターで集めた「軍需企業に言いたい」メ
ッセージを提出したうえで、部長としばらくやり取り。部長からは「警察
や消防の方もショーを見に来られる。人命救助や災害対策で世界の人々の
お役に立ちたい」「トレーサビリティー(流通経路の追跡)はやっている。
経産省と最終エンドユーザーとなる代理店を確認しているが、そこから先
はわからない」「不適切な用途に使われ、契約が破られたときには契約不
履行となる」「モラルハザードにならないようにしたい」などとコメント。
 参加者からは、「たとえ民生品の出展といえども、軍事転用を完全に防
ぐことはできない」「企業の責任として、軍事転用を許さないための措置
をもっと強化すべき」「ホームページで軍事転用は認めない旨を明確に表
明してはどうか」「今回中止できなかったとしても、次回のユーロサトリ
への出展は断念してほしい」などの要望を伝えました。
 3日と7日に訪れた7つの企業の中で、会議室で対話できたのはジャパン
セル1社のみ。市民と向き合う真摯な姿勢に、今後も継続的に対話してい
ける可能性を感じました。

 2社目は田町にあるNEC(日本電気)。大手が軒並み出展を見合わせる中、
懲りずに無線通信システムなどを出展する予定です。事前のアポイントで
は要請書の受け取りを理由も示さず拒否。こうした要請には「是々非々で
対応している」とのことで、よろしくないと判断されたようです。
 そびえ立つ高層の本社ビルに出向くと、9人の参加者を上回る12人もの
警備員が正面玄関の50メートル手前で私たちをブロック。NECのワッペン
を付けた警備員が、問いただしても終始無言を貫く一方で、アルソックの
警備員は「総務から社の方針として受け取れないと聞いている。理由は言
えない」と高圧的な対応でした。
 強く抗議したうえで、横断幕を広げて、次々とマイクアピール。近くの
歩道で行ったチラシ配布の受け取りも良かったです。最後に、正面にある
立派な社名看板を撮影しようとすると、警備員が慌てて立ちはだかる始末
でした。それにしても、3日の富士通、東芝に続き、名だたる大手企業の
傲慢な姿勢は情けないものがあります。私たちは抗議ありきではなく、説
得しようと訪れたに過ぎません。NECの強硬な姿勢は、武器輸出が物言う
市民を蔑視しながら進められていることを浮き彫りにしました。

 最後の3社目は戸越銀座の近くにある藤倉航装。前回は自衛隊向けパラ
シュートなどを展示したものの、輸出管理の制限により性能などをPRで
きなかったとして、今回は独自に考案した民生用のパラシュート技術を紹
介する予定とのこと。
 事前にアポイントを取っていたものの、到着が遅れたため電話すると、
担当者は「会社を離れるので守衛に受け取らせる」との対応。戸越銀座商
店街を抜けて会社に出向くと、少し待たされた後で社員らしき人が登場。
ところが、開口一番「受け取れません」。驚き理由を尋ねると、「一人で
来ると思っていたのに、こうした抗議まがいのやり方ではダメ」「要請書
の内容が納得いかない」などと述べた後、今度は「理由は言えない」と言
ってみたり、思いつきでコロコロと変わる混乱ぶり。名前と役職を聞いて
も「答えない」の一点張り。「では、後日郵送します」と伝えると「郵送
されても読まない」とまで言ってのけました。
 A4で1枚の紙を受け取ることがどうして出来ないのか、企業の傲慢さを
またしても見せつけられました。受け取りを拒否した企業には郵便で要請
書を送付する予定です。

 3日の軍需企業めぐりに続くハードな日程ながら、武器輸出ヘの「NO!」
の意志を伝える確かなアクションになったと思います。企業の対応に見ら
れた「幅」は今後の取り組みにとってのヒントにもなるものでした。参加
された皆さん、ご注目いただいた皆さん、お疲れ様でした。(文責:杉原)

※ぜひ様々な個人、団体でも軍需企業に声を届けてほしいと思います。な
るべくていねいなメッセージで。直接訪問される場合には、窓口などをお
知らせできますのでご連絡ください。

____今回の訪問先____

(1)ジャパンセル
(〒194-0215 町田市小山ヶ丘2-2-5-11) 
最寄り駅:京王相模原線 多摩境駅
(TEL)042-798-4621 (FAX)042-798-4679
☆代表取締役社長 深澤篤。1982年設立で精密光学ガラス部品を製造。社員
は約50人。前回に続いて災害救助用の携帯型特殊サーチライトを出展予定。
2014年の初出展の際、メディアの取材に対して深澤社長は「今の景気が悪
い中で仕事を作らないといけないということで、そっちの方を優先して考
えています」とコメント。

(2)NEC(日本電気)
(〒108-8001 港区芝5-7-1)
最寄り駅:JR田町駅、都営三田線三田駅
(TEL)03-3454-1111(代表)
(NECへのご質問・ご意見) https://jpn.nec.com/cgi-bin/cs/opinion_form.cgi
☆代表取締役執行役員社長兼CEO 新野隆。1899年設立。2014年度の防衛省
との契約実績は287件、1013億円と第3位。野外通信システムや固定式警戒
管制レーダー装置などを納入。軍需関係は府中事業場(府中市日新町1-10)
が中心。前回は無線機や顔認証機などの情報通信システムを出展。

(3)藤倉航装
(〒142-0063 品川区荏原2-4-46)
最寄り駅:東急池上線戸越銀座駅、都営浅草線戸越駅
(TEL)03-3785-2111 (FAX)03-3784-0416
☆代表取締役社長 長井弘。1939年設立。「はやぶさ」カプセル回収用パ
ラシュートを開発したことをPR。前回は自衛隊が使用するパラシュート
や救命胴衣を展示。今回は独自に考案した民生用パラシュートの開発・設
計技術を出展。品川は本社機能のみで、製造工場は福島県田村市船引町船
引字卯田ヶ作115-25。

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<6月3日の軍需企業めぐりのご報告はこちら>
https://najat2016.wordpress.com/2016/06/06/report_tour/

<NAJAT講座 第2回「『世界』武器輸出特集を読む」>
6月19日(日)14時~16時30分、飯田橋しごとセンター セミナー室
https://najat2016.wordpress.com/2016/06/02/lec_2/

【報告】武器輸出のキーマンを直撃

NAJAT杉原です。アクションの報告です。

【武器輸出のキーマン、堀地徹(ほっちとおる)防衛装備庁装備政策部長を直撃!】

~「戦争犯罪国家イスラエルと武器開発するのか?」の問いに回答拒否。
~「売り込み」でなく「装備協力」だとの弁明も。

http://kosugihara.exblog.jp/22750480/ (写真も掲載)

 4月25日夕方、「ついにこの時が来た」との思いでシンポジウム会場に
入りました。防衛省のすぐそばにあるグランドヒル市ヶ谷で、『防衛装備
庁と装備政策の解説』(内外出版)出版記念「防衛装備シンポジウム」が
開かれたのです。私がこのシンポに参加した大きな理由は、ある一人の防
衛装備庁官僚が出席、発言することにありました。
 その名は堀地徹(ほっちとおる)。防衛装備庁の装備政策部長であり、
日本の武器輸出を実務面で担うキーマンです。私は武器輸出に関する講演
の中で、必ず彼について言及してきました。その理由は、2014年10月に放
映されたNHKスペシャル「ドキュメント武器輸出」における彼の言動にあ
ります。

 当時、防衛省の装備政策課長だった堀地氏は、2014年6月にパリで開催
された国際武器見本市「ユーロサトリ」(日本の軍需企業12社が初出展)
を訪れ、イスラエルの無人機のブースでこう語ります。「イスラエルの実
戦を経験した技術力を日本に適用することは、自衛隊員のためにもなるし、
周りの市民を犠牲にしないで敵をしっかり捉えることは重要。(イスラエ
ルの)機体と日本の技術を使うことでいろいろな可能性が出てくると思う」。
到底許すことができない発言です。他にも堀地氏は、まるで主人公のよう
に何度も登場し、見逃せない問題発言を連発していました。私は、いつか
必ず、本人を直接問いただしたいと考えてきました。

 そして、いよいよその機会が訪れました。防衛装備シンポが始まり、田
村重信・防衛知識普及会理事長(自民党政務調査会審議役)の司会のもと、
堀地氏に加えて、外園博一・防衛技官、吉田孝弘・事業管理官がまず発言。
その後の質疑応答で、私は質問しました。

 「NHKスペシャルであなたは「イスラエルの機体と日本の技術を使うこ
とでいろいろな可能性が出てくると思う」と発言した。イスラエルは2009
年にも1000人を超えるガザの人々を殺害し、ユーロサトリ直後の2014年夏
にも、2500人を超える人々を殺害した。うち民間人は1500人以上、子ど
もは500人以上だ。パレスチナ政府が国際刑事裁判所にイスラエルを戦争
犯罪で訴えようとしている。こうした国と武器開発するという見解は今な
お変わらないのか?」

 ここで司会の田村氏が「今日はマスコミにもフルオープンなので役人は
慎重に答弁するように」と発言。それを受けて堀地氏は、「マスコミが編
集したものについてコメントはしない。防衛装備移転三原則のもとで進め
ていく」と発言。私は「編集でなくあなたの発言を問題にしている」と食
い下がりましたが、堀地氏は「コメントしない」を繰り返すばかりでした。

 そして、シンポが終了。私は、これくらいでは引き下がれないと堀地氏
のところに行き、「きちんと答えてください」と要求しました。彼は、
「言葉の使い方に気をつけるべきだ。編集にはコメントしない。あなたの
質問に答える義務はない」と高圧的に述べたてました。これ以上の対応は
なしかと思いきや、少しして私のところに寄ってきてこう言いました。

 「あなたのイスラエルへの価値観を最初に言われても答えられない。
「イスラエルとの装備協力はどうなっているのか」と聞かれるならまだし
も」と。これを受けて私は「ではそう尋ねます」と質問。

 彼は「防衛装備移転は装備移転協定を結ばないとできない。イスラエル
とは結んでいない。我が国は専守防衛。そのために必要な技術を取得する
ために、優れた装備品を持つイスラエルの調査はしている。今後、協定を
結ぶかどうかなど動向を見ればいい」と述べました。

 さらに私は「オーストラリアへの潜水艦輸出で「日本脱落」との現地報
道があるがコメントは?」と質問。彼は「オーストラリア政府が決めるこ
とであり、コメントしない」と回答。私が「でも日本として売り込んでい
るでしょう?」と畳みかけると、「「売り込み」ではなく「装備協力」だ。
これ以上、答えない」と私から離れていきました。最後はお得意の言葉の
すり替えでした。

 これが、日本を「死の商人国家」に変えようとしているエース官僚の実
態です。オーストラリアへの潜水艦輸出は、まだ最終決定が出ていません
ので油断はできませんが、ほぼ日本の受注は消えた模様です。堀地氏のよ
うな「モラルハザード」官僚が進める危険な武器輸出がいったん頓挫する
なら、そのことの意義は非常に大きいと思います。今ならまだ、日本版
「軍産学複合体」の形成をくい止めることができると思います。改めて、
「こんな連中の思うがままにさせてたまるか」との思いを強くしました。

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【防衛装備庁への要請先】
手紙 〒162-8870 東京都新宿区市谷本村町5-1 
電話 03-3268-3111 FAX 03-5261-8018
メール info-soumu@atla.mod.go.jp 
メールフォーム(防衛省・自衛隊に対する御意見箱)
https://sec.mod.go.jp/mod/goikenshinsei/goikenbako/index.html

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報告「三菱さん川重さん 死の商人にならないで! 神戸アクション」

4/22に神戸で、武器輸出反対のアクションがあり、NAJATからも代表杉原と戸山が参加しましたので報告します(PDFバージョンはこちら)。


 須磨の海に、金色の大きな満月がのぼっていた。朝の波はおだやかに浜に寄せ、また離れていき、瀬戸内の夜が明ける。夜行列車の窓から見えるのは、自衛隊の潜水艦隊が根拠地にする海だ。そして、神戸の大きな造船所では、毎年ごとに新しい潜水艦が、この海へと船台を滑って進水していく。
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 神戸の海岸部にある和田岬駅に着いたのは朝 10 時。改札口もない小さな駅で、乗り降りする人のほとんどは三菱重工の関係者だ。すでに現地のグループ「神戸ピース i ネット(以下 i ネット)」の人々15人ほどが集まっていて、それぞれ帽子やシャツなど、どこかに赤いものを身につけて、賑やかに行動を準備している。この周辺は三菱重工、三菱病院など、三菱関係の事業所だらけの地域だった。
 最初の打ち合わせで、「武器輸出反対ネットワーク(以下 NAJAT)」から、杉原浩司さんが挨拶をする。杉原さんは「オーストラリア側は日本の潜水艦を導入候補から外したという報道があり、安倍政権にとって、この失敗はとても手痛い。市民の側から〈原発、武器の輸出を諦めろ〉という声を強めるチャンスだと思います」と、今の状況について語った。
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 駅から数分のところにある三菱重工・神戸造船所に歩いて向かう。アポイントメントがあったので、すでに三菱重工の社員や守衛が10人ほど待ち構えており、隣り合う建物のスロープにも会社関係者たちが立ってこちらを観察していた。つまり遠巻きに、私たちは取り囲まれていた。三菱重工は「本社総務部神戸総務グループ」の田中さん、岡田さんの二名が対応し、i ネット側は事前に用意した要請文を読み上げたが、会社側は「要請文は受け取るが、内容には答えられない」の一点張りだった。私たちからは「ただ受け取るだけでなく、市民との意見交換の場を設けてほしい」と伝える。

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 要請文とは別に、参加している女性が社員たちに語りかけた。
「私は兵庫区在住で、町内会で工場を見学させてもらったこともありますし、身近な感じがしていたんですが、三菱さんには、やっぱり戦争につながるものは作ってほしくない。そういう地域住民の気持ちも汲んでもらいたいと思います」

i ネットは地元の人々を中心としているので、こういった話が出てくるところがおもしろい。
要請を終えて、参加者間でいろいろなおしゃべりや情報交換をしながら地下鉄に乗り、今度は川崎重工・神戸工場に向かう。約束はしていたが、総務関係者も来ておらず、結局守衛が受け取ることになった。言いたいことはいろいろあったが、ほとんど伝えられずに終わる。「三菱も感じはよくなかったが、最低限のことはしている感じ。川重はもっとひどい」という声も上がる。

 曲がりなりにも三菱は、グループ全体で言えば一般の消費者に近いところにいる。自動車、不動産、銀行、家電……一方で川崎重工は、バイクやジェットスキーぐらいしか一般向けの製品はないせいか、消費者への対策という意味では、よく言っても稚拙、悪く言えば高飛車すぎると感じる。

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 海岸沿いのレストランでランチをとってから、ハーバーランドで観光船に乗りこんで、40分ほどの港めぐりに出る。もちろん、狙いは川重と三菱の潜水艦工場を海から見ることだ。

 500 人乗りの観光船は、思った以上に工場の近くを航行した。
 「あれを見て下さい。ハーバーランドの大きな観覧車のすぐ向こうに黒い潜水艦が見えるでしょう。楽しい日常のすぐ隣に、戦争が隣接している。これが、神戸の象徴だと思うんです」
 高橋秀典さんは、こう指摘した。高橋さんが世話人を務めている、今日の主催団体の i ネットは、毎週、安保法制に関するシール投票などを行なっている。神戸では、同じように港町であるイスラエルのハイファ市とも姉妹都市協定を結ぶ動きもあり、高橋さんたちは関西のパレスチナ支援団体とも連携して、反対の意思表示をしていきたいという。

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 海から見ると、川崎重工のドックには「そうりゅう」型潜水艦が1隻収容され、岸壁には3隻の潜水艦が係留されていた。修理中なのか、新造艦の艤装をしているのかは、素人目にはよくわからない。
観光船のデッキでは、大阪から遠足に来た高校生たちが、「潜水艦だ、すごいすごい」と無邪気にはしゃいでいる。
 さらに船は港内を進んで、三菱重工・神戸造船所の近くを通る。ここでは2隻の潜水艦が係留され、修理を受けているようだった。海上自衛隊が保有する実戦用の潜水艦は17隻。そのうち6隻が神戸に停泊していることになる。まるで潜水艦基地だ。

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 NAJAT が作った横断幕を、ゲリラ的に船のデッキの側面に展開して、工場から見えるようにしようかという話も出たが、乗客が多くてやりにくい。その代わり、デッキの一角で、i ネット関係者が集まって記念撮影をすることにした。そのとき「潜水艦をオーストラリアに売るな!」と書いた横断幕を広げてみたら、高校生たちがいっせいに注目した。「えっ、日本が潜水艦をオーストラリアに売るの?それめっちゃ悪いやん!」と、自分から記念写真に収まって意思表示する生徒もいて、思いがけない交流ができた。

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 神戸では、小学生のときに誰でも一度はこうして「港めぐり」の船に乗るという。

「ああ、造船所には潜水艦があるんねんなと、子どもの頃から現状が刷り込まれているんです」と、主催者の一人、松本なみほさんは語った。潜水艦はいわば、神戸の地場産業のひとつ。神戸の三菱と川重の工場だけが、毎年一隻、自衛隊のために作り続けてきた。
 
 神戸というとおしゃれな街というイメージがあるが、これだけ施設が集中していると、いつか戦争が起きたとき、街ごと標的になる可能性も高い。そのことを、神戸の人々は意識しているだろうか。「ほとんどの市民は、まだ理解していないと思います。ですから、今日はアクションの第一歩です」

 引き続き、夕方からは三宮の神戸市勤労会館で、杉原さんが講師になって「日本を武器輸出大国にさせないために」と題した講演会が開かれた。朝から行動をともにしてきた人や、途中で一時離れて別の街頭署名に参加してきた人など含めて、40人ほどの市民が参加して、熱気のある講演会になった。

 杉原さんからは、世界の軍事費が4年ぶりに増加し、シリア空爆やサウジによるイエメン空爆によって武器貿易市場が活況を呈していることや、日本では 2004 年以来、ミサイル防衛に投じてきた税金は1兆5800 億円にものぼるのに、兵器としてはほとんど役に立たないことなど、NAJAT の活動を始めようと思った背景についての詳しい話が語られた。

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 「政府の解釈では、日本が武器輸出をしてはいけない紛争当事国は、世界のどこにも「存在しない」
そうです。これはおかしいですよね。シリアでは何十万人も死んでいるんです。かつての武器輸出三原則で書かれていたのは、「国際紛争を助長しない」ということでしたが、今の防衛装備移転三原則では、「国連憲章を順守する」ということに置き換えられています。こんなことは平和主義でもなんでもなくて、国連に加盟する時点で決まっている、当たり前のことです。武器輸出の制限として、何の意味もない原則になっています。実際には、国連安保理が禁輸対象国としている11カ国以外は、どこにでも輸出できる状態です」杉原さんはそんな状況を怒りをこめて報告した。参加者からも、軍需産業の労働組合のありかたや、アクションシートの使い方について、活発な質問が出された。

 オーストラリアは、4兆4千億円もの巨費を投じて、潜水艦隊を12隻に増強していこうとしている。これは一種類の兵器への支出としては、オーストラリア史上最大の予算だという。
 潜水艦は、通常動力の潜水艦であっても、使い方によっては原潜に匹敵するような攻撃兵器になりうる。前に、自衛隊で潜水艦長をしていた人の手記を読んだことがあるが、潜水艦探知が得意と言われる日本の海上自衛隊すら、水上艦艇から味方の潜水艦を探知することは極めて難しく、演習や実戦では、潜水艦の側が圧倒的に有利だという。

 どの国向けであれ、そんな潜水艦を輸出することは、海の軍事バランスにとって、必ず悪い影響を与えることだろう。安倍政権なら、それを「抑止力に貢献する」とでもいうのかも知れない。しかし、戦力の弱い国にとっては戦争をしにくくなるのなら、強い戦力・兵器を手にした側としては強気の外交交渉ができるようになるわけで、やはり戦争の危険は前より増す。もしくは武力の多い少ないが、公正さや道義より優先する国際社会になってしまうだろう。武器が平和をつくるなんて嘘に決まっている。

 幸い、オーストラリアへの売り込みは頓挫したようだ。けれども、三菱電機がイギリスとの共同開発を図る空対空ミサイル「ミーティア」改良型をはじめ、他にも日本の武器輸出はいくつも進んでいる。

 今回のような地元に密着したアクションでは、工場に勤める人々の目の前で行動するし、行動する人の身近にも、企業の関係者や、家族がいたりする。東京のような遠く離れた大都市で活動することも必要だけれども、たとえ規模は小さくても、こういった地元の活動のインパクトは大きいと感じた一日だった。生活の場で抗議を行うことには勇気がいる。それだけに、その抗議の意味は重い。

(報告:戸山灰/武器輸出反対ネットワーク)